「今度こそ英語は大丈夫」は、大丈夫?

皆さん、あけましておめでとうございます。

皆さん、カリスマ英語講師の足立sunnyです。

クリスマス酔いですね。

えっと、ですね。
クリマスも無事終了いたしまして、本日、めでたく、売れ残りのケーキ=大特価を食べながら一息ついている、読書一筋、足立sunnyです。

前回のブログで読破宣言致しました、The Scarecrow and his Servant (PHILIP PULLMAN)ですが、現在45頁/230頁、ほとんど進んでおりません。
モノスゴク面白いのですが、進まない理由が、ひとつ。

それは、他の本を読んで、ウンウン唸って考え込んでいる、いるからです。

その本とは?

{こんどこそ英語は大丈夫}
高校生のための英語道
(東進ハイスクール講師 今井 宏 著 東進ブックス2005年)


いまから、5年以上前の本です。
有名予備校のトップ講師の方の、高校生のための、真に身につく新しい英語学習法のホンのようなのですね。
先日取り出した、押入れのダンボール箱の中に、入っていました。

途中まで、実によい感じのことを述べられています。

新しいというか、氏の考える真に身につく英語学習法とは、何か?
この本は、章が、英語道初級、中級、上級、黒帯に分かれています。
そのなかで、「英語道初級」と「英語道黒帯」を、ちょっと出してみます。





この本の中で述べられている英語学習には、いくつかの柱があるようなのですが、
大きくかいつまんでご紹介しますと、

その柱は、

(1)文法の基本問題を何度も反復して解く(例えば、1000問を7回ずつなど)
英語は体力だ。英語は筋トレだ。運動トレーニングのように、反復くりかせば、英語の基礎体力がつく。

(2)テキスト本を30回とか40回とか、繰返し音読し、平行して、ネイティブの発音を繰返し聴いて、発音を向上させる。発音のよい先生の授業を受け、音楽CDを、歌詞カードにかぶりついて、繰返し聴く。

(2)英単語は、文法書&文法問題をやりながら、自然と増強してゆき、そのあと、徹底的に書きまくって覚える。単語集を暗記したり、タダ読んでいるだけではダメで、徹底的に書きまくることが肝心。

(3)リスニングCDは、リスニング5回、音読5回を1セットで、それを5回繰返し、都合25回繰返すことで、音をしみこませる。

(4)学習がだいぶ進んだあと、英語道黒帯に移行する段階では、1枚の映画DVDを、一日1回で5日間、5回くりかえして見る。

などなのです。、

結局のところ、

「くりかえしの反復解読による文法の習得」
「くりかえし書くことによる単語の習得」
「テキスト本のくりかえしの音読」
「くりかえしのリスニング&くりかえしの音読」
のようなのですね。

音読については、著者の体験からにじみ出たもので、音読によって、いかに自身の英語力が変貌していったかも記されています。

むろん、トップ講師の先生ですから、このような指導による生徒さんの実際の変貌も、実感としてあるのだろうと思います。


音読関係の出版でいいますと、例えば、

「英会話ぜったい音読」(国弘正雄編、千田潤一指導 講談社パワーイングリッシュ)が、2000年。

「5文型で話せる音読英会話」(晴山陽一 青春出版社)が2003年。

「Z会の音読英単語シリーズ」が、2003年。

というように、出版されています。

Z会は、受験大手といってよいでしょうから、2003年頃には、「音読」が受験英語の世界に入ってきていた、という計算になります。
リスニングが受験に必要になった、そういう事情が一番の原因かと思うのですが、ですね。

{こんどこそ英語は大丈夫}も、予備校講師の方の本ですから、各大手予備校でも、受験アイテムとして、生徒に音読を勧める、そういう時期かとも思うのです。


☆☆
で、ですね。

先の柱のようなものは、いずれも、「超くりかえし」が主になるわけですが、方法論としては、これは、ワリと理にかなったものだと思うわけです。
反復は、記憶の必須要素です。

文法1000問を7回も繰返して解けば、出題されている大概の文法事項(基礎文法)は、アタマにはいるでしょう。

テキスト本のくりかえし音読30回も、リスニングCDのくりかえしリスニング&くりかえし音読25回も、相当の効果を挙げるものと思います。

英語道初級の段階で、徹底したくりかえし学習を推し進めることは、クモンではないですが、基礎体力的な英語の力をつけるとは、思います。
受験的にセレクトされた問題で、受験的にセレクトされた文法事項であったとしても、こうした繰り返しによって、身に付けさせられたものは、自身の英語力として、ある程度定着するものと思います。
むろん、おそらく、「受験のための英語力」でしょうが、ですね。

英語道黒帯に移行する段階で、1枚の映画DVDを、5回みれば、ある程度内容を理解したリスニングも可能となるでしょう。
これを相当数の映画でくりかえせば、かなりの実践的リスニングになると思います。
当人に、それほどの時間と、耐久力があれば、の話ですが。
毎日2時間、DVDを見れる人は、そう多くありません。英語習得という強力なモチベーションがなければ、掛け声はいいけれど、実際にやる人はいない、ということになるでしょう。

これをいうと誠に失礼ですが、おそらく、著者ご本人も、これは実行されていないことでしょう。


で、受験とか、英語学習ということでは、それでよいように思えるのです。くりかえし、くりかえし、によって徐々に身につけていく、ジミですが、必須の要素を持っています。


☆☆
しかし、どうやら受験がおわったと思える、「英語道黒帯」のなかに、
「どうにも腑に落ちないある一連の文章」があるのです。

それは何か?

それは、以下のような文章なのです。

ここは、少し長いのですが、ニュアンスを損なわないため、(話の最初の部分はカットはしますが)、原文をそのまま、正確・完全にうつさせていただきます。
著者の真に意図するところは、本を買って読んでいただかねばなりませんが、予備校での学習を終えた=それなりの英語力を身につけて大学に合格した、あとの英語道=英語黒帯、についての、不可思議な記述です。

☆原文そのままー大学進学後のおはなしと思われるー☆
(前略)
そうして、まず基本的な文法とボキャブラリーを身につけ、ネイティブスピーカーたちと等質の一般教養を養成し、音読・スラッシュリーディング・シャドウイングを徹底的に継続し、DVDやニュース番組をエンジョイして2年ぐらいが経過するものと思います。

 大学での、だいたい2年間を使って、皆さんは文字をあまり使わずに「英語の達人」になっています。「和訳の達人」ではなく、「英語の達人」であるところが、いいじゃないですか。
「英語の達人」は読むスピードが違いますよ。「和訳の達人」はとにかく読むスピードが遅すぎます。1ページに15分もかけて、ふーふー言っている。NewsweekやTIME一冊に5時間以上かけて、それでも全然終わらない。カッコわるーい。ペーパーバック1冊に1ケ月もかかっていたんじゃ、面白くも何ともないでしょ。「和訳の超達人」のはずだった予備校講師のスピードを思い出して下さい。すんごい遅かったでしょ。決められたテキストを最後まで読み終われない。今後皆さんがいくら「和訳の達人」になっても、期待できるスピードはあの程度。

「英語の達人」は、ペーパーバックなら、まあ1冊を3日ぐらい。Newsweek やThe Economist なら2時間ですかネエ。東京駅で新幹線に乗って、途中でちょっとコーヒーを飲みながらひと休みして、新幹線が名古屋を過ぎて京都に到着するころまでに一冊読み終わる、というペースです。これはかっこいいですよお。

 2年後には、いよいよリーディングスタートです。どんなに忙しくても、1日に少なくとも30ページは読んで下さい。飲み会があろうと、デートがあろうと、理想的には1日に平均50ページは読んで欲しい。年間で、20000ページ近く読むことになります。20000ページと言われるとビックリするでしょうが、和訳するんじゃないんだし、かなりのボキャブラリーが身について辞書を引く必要もない。ネイティブ的教養もあるから、とっても読みやすい。これなら、年間20000ページ読破もけっこう楽に実現できると思いませんか。

 今日まで、皆さんは日本語でたくさんの読書をしてきたと思いますが、いままで読んだだいたいのページ数を計算してみてください。一冊平均250頁として、1年間で80冊読むと20000頁ですよね。今まで、それほどたくさんの読書をいていました?日本語でさえ、そんなに読んできた人は少ないでしょう。それを、2年後には、「英語で」実現しようとしているです。う~ん、カッコいいよネエ。

その域に達すれば、もうTOEICやTOEFLだのの長文問題でビクビクすることはないでしょう。その域に達する若者がこれからどんどん増えてくることを心から期待しています。「和訳しながらやっとのことで1ページ30分」とか「文法はわからないがハワイでショッピングができる」程度の英語力に満足しないで欲しい。20000頁を毎年達成している、教養あふれる若者達が、ネイティブ並みの発音とスピードで、国際社会で日本人として堂々と意見を発表し、世界中の人々と議論をし合えるようになる、予備校教師としてみんなの顔を見ながら私が夢想するのは、そういう素敵な日本の姿です。

☆原文そのままー終わりー☆


この文章は、ある意味、理想論というか、机上の論理なのですが、「モノスゴク肝心なあること」が、「5つほど抜けている、ないしは、話が飛んでいる」ように思えるのです。

(1)
何を(どんな類の英文を)?30頁~50頁読むのか。

(2)
頁は、何を想定してはじき出しているのか?
(PBを30頁と、TIMEを30頁とでは、天と地ほど換算値が異なります。絵本を30頁と、児童書を30頁とPB30頁でも、全く異なります。)
(もっとも、著者は、絵本などは眼中にないでしょうし、児童書という分野の本は、全く知らないと思われるのですが。)

(3)
予備校講師ほどの英語が出来る「和訳の達人=スゴイ量のボキャブラリーと文法力を有している人」が、1ページに15分もかけて、ふーふー言っているというのに、普段日本語の読書もロクにしていない者が、学習を積んで、いくら日常的に英語が使える段階であったとしても、「どうやって?」、いきなり一日30~50ページもの量の英文:それも難しい英文を、継続して毎日読むことができるのか?
それまで、毎日でもなく、ときどき1日最大で1千字ぐらいの英文しか読んでいなかったのに、ですね。急に、PBや、タイムとか英字新聞とか、読めというわけなんですね、多量に。

(4)
かなりのボキャブラリーが身について辞書を引く必要もないのは、1年20000ページを継続して読んだあとのことだと思われるが、で、スタート時点で、どうやって未知の単語、未知の言い回しの多く含まれている文章を、30~50ぺージも読み進めていくのか?
最初は、まさしく、15分1ページの「和訳の達人」と同様にしか、ならないのではないか?1時間に4ページだと、50ページ読むのに、12時間必要になるが。
達人の予備校講師をはるかに凌駕するほどの英語力を、会話だけでなく、スラスラPBなどが読める力を、氏自身のメソッドだけで、受験&大学の2年間で養成できるものなのか?
英語だけやっているわけでもないのに。

(5)
読書の量と読むスピードに関して、日本語の本と英語の本とを、ページ数で単純比較するのは、不当なのではないか?
例えば、当方は、文庫本サイズであれば、250頁の本を1日2冊読むことは、そう難しくはないのですね。それでも、読むスピードは、必ずしも早いとは言えません。
年間200冊は、少なくとも毎年読んでいますし、英語の本を読まなかった時代には、月に30冊以上読むことも珍しくありませんでした。囲碁の本だと、1日4冊でも読めます。
英語の本PBは、仕事以外、他に何もしなければ、一日100頁ほど(1時間30頁×3時間と少し)は読めますが、丸々一日あったとしても、途中でダレルので、1冊は読み終わりません。
でも、丸2日あれば、お気楽PBの、300頁台のものは読み終わります。
TIMEなどの雑誌については、5時間どころか10時間かかっても、読み終わりません。そもそも、使われている英語が、かなり面倒くさいのです。


☆☆
つまりですね。
20000ページを読んで欲しいと言っているものの、何にも具体論はないのですね。

自身が本を読んでいないこと、自身の体験から来るススメでないことは、明らかなような気がします。
PBとNewsweek,TIMEなどの雑誌の英語、英文の難易度の検討もありません。

これでは、ある程度英語学習が進んできたら、
思い切って英字新聞やPB原書を、読み進めましょう。
ナマの英文、原書にどんどんチャレンジしましょう。

といっているのと、あんまり変わりがないように思えるのです。
方法論もなく、具体的指摘もなく、毎日50頁、年間20000頁のPBや雑誌を読めるのならば、何の苦労もいらないのですね、と皮肉りたくなる記述なのです。

どうして、そう難しいことに、一気に跳躍してしまうのか?
ある程度の英語学習&受験を終えると、どうして次は、一足飛びに、
英字新聞、
PB、
TIMEなどの雑誌、
にチャレンジになってしまうのか?
あこがれとか、そうありたい、とかは強いのですが、多くの方は、そのギャップを容易には埋められないのです。
ある程度英語の成績が良くて大学に合格した、その後も少しリスニングの学習を続けた、そういう段階で、TIMEや英字新聞が、スラスラ読めるはずがないのです。PBもしかり。
もしそれが可能ならば、日本の英語教育は、これほど批判されていないでしょう。

英語道初級には、大いに賛成できる点が多いのです。
中級~以降も、同様です。

しかし、そこから、急に話が空想の世界・理想の世界になってしまうのですね。
知識人や、英語の先生に、よくあるパターンです。

具体的な実行方法が、全く示されていません。
個人の努力で、何とかして欲しい、やればできるだろう、そういう話のように思えるのです。

そうしますと、ですね。
「今度こそ英語は大丈夫」という前半のお話さえも、使える英語を身につけるというお話ではなく、「受験にはこれで大丈夫」、ということのように、思えてきてしまうのです。

結局は、従来の受験勉強に、繰り返しと音読の効用を入れただけなのではないか?
その手法は、効果が高いとしても、あくまで受験用のヒトコマなのではないか?

そんなことをついつい、考えてしまいますと、アレコレ悩んでしまいまして、
Scarecrow の読書が思うように進みません。
Scarecrowさん、 ちょうど、今、芝居の公演に出演することになって、楽屋に入ったところなので、目が離せないところなのですが、ですね。

この方の論調を否定したり、揶揄する意図は全くないのですが、
「やさしい英語の読書」を、英語学習の初歩段階から取り入れるべきである、
という当方の主張とは、全くかけ離れています。

ある程度の文法アンドボキャブラリーを有しているものの(高校卒業以上)、
いきなり難しいことをしようとして、
英字新聞も、
PBも、
TIMEなどの雑誌も、
ほとんどの人が、挫折して来たのですね。

その後の、超人的個人の努力・英語学習によって、これらは、一部の人だけが、克服してきたのです。

当方は、そういう英語教育であって欲しくないんですね。
確かに、いくら改善しても、個人の相当の努力ナシには、TIMEが読めるようにはならないでしょう。
英字新聞もしかり、です。

しかし、現在は、その努力の土台すら、学校段階で養成できていないのです。
予備校でも、同じです。受験に必要ですから、難しいことにばかり、取り組んでいます。
その難しいことのエッセンスを、効率よく習得させようとしているのです。
身につく英語に取り組んでいるのではなく、あくまで、受験予備校なのですね。

だいたいパラグラフリーデングなどという、ちゃんちゃらおかしい話が、まかり通っています。
普通に読んでも読めないものを、先を類推したり、キイポイントの文を抜き出したりして、どうやってマトモに読むというのでしょう。
それは、普通に読める人がやることです。

当方が、一度読んだPBを再読するとき、テキトウに流し読みすれば、1冊2時間ぐらいで読み終わります。読む必要のないところを、全て飛ばしてしまうからです。

英文新聞記事や、雑誌記事などでも、場合によっては、読み飛ばすこともできます。どこに、興味のアル必要な事項が書いてあるか、記事の分野によっては、わかる場合もあるからです。

しかし、このような小手先のテクニック、本末転倒の事項を、英文を読むさも重要事項のように取り扱っている本が多いのですね。

当方は、大いに言いたいのです。

「はじめから一つひとつキチンと読みなさい」

読めるようになれば、自然と、テキトウに飛ばし読みできるのだから、そんなことを重大事項のように教える、解説するのは、話がアベコベなんですね。
そういう風だから、マトモな環境にならない、そう思うんです。

☆☆
当方は、実のところ、思っています。

TIMEなんて読めなくていいんじゃないのか?
英字新聞なんていらないぞ!日本にだって新聞はある。
世界情勢だって、いろんなお話だって、翻訳版や日本語の本で十分じゃないか。

ただ、ですね。
しゃべれないし、聴いてもわからないし、あまり難しくない英文も読めない、
それが高校卒業生の平均的な状態だという、そういう英語教育・英語環境は、できればもうやめにしたい、そう願っているのです。

せめて、熱心に学習してる普通の高校生であれば、ある程度は聴いてわかる、ある程度は英文が読める、そういう土台を、高校卒業までに作れる、そういう環境でありたい、そう思うわけですね。

☆☆
最後は、ナンダカまた変な話になってしまいましたが、次回も、ダンボール箱所蔵本について、いくつか採り上げて、お話をしたいと思います。
何だか、愚痴みたいな話なんですけれども、ですね。

では また。


西新井sunny-side up の近況

少し本を買ってまいりましたが、その本は、次回のお話の際に、登場させたいと思います。
まだ、一日1分の本日分を書いていないのですが、現在午前1時40分ですので、これから急いで書きますと、徹夜になります。
で、本日も仕事ですので、そのまま行きますと、クライアントに申し訳のない事態になりかねません。よって、手前かってではありますが、一日1分は、半日お休みをいただきたく、お願い申し上げる次第です。
Thumbelinaの最終回は、本日午後8時頃、上程する予定です。
では。